学校法人寿福寺学園理事長 高山久照様
松下産業
高山理事長、本日はお忙しい中ありがとうございます。
まず、幼稚園について教えてください。寿福寺学園 理事長 高山久照様(以下、高山理事長)
幼稚園の設立母体の寿福寺ですが、慶安2年の1649年以前に開創された真言宗のお寺です。仏様の慈悲の心をもって温かくゆきわった保育を行ない、「いのち」の大事さを子どもたちに伝える保育を追及しています。 寿福寺第一幼稚園の園児数は約160名、3~5才児、全6クラスです。お寺での行事が年に数回あります。松下産業
建替えの経緯を教えてください。
高山理事長
寿福寺が設立母体となり、先代の住職が昭和28年に開園したこの幼稚園は、たくあん倉庫の古材を利用した木造平屋建ての園舎でした。当時このあたりは、練馬大根の栽培が盛んで、たくあんの漬物倉庫がたくさんありました。松下産業
設計のこだわりはどんなところでしょうか。
高山理事長
設計は、石原・山口計画研究所の山口さんが高校の同窓生というご縁で依頼しました。
施工会社は三社入札で松下産業さんへお願いしました。
これまで第一幼稚園はお寺の敷地にありましたが、建替え後はお寺と少し離れてしまうので、お寺のような雰囲気を感じられるようにと「木」にこだわりました。
松下産業
特徴的なのは、廊下の凹んだ小さな空間、アルコープですね。
高山理事長
木の庇がお寺を感じさせます。園児たちもとても気に入っている空間です。
小さなスペースですが20人くらいがきゅーっとくっついて十姉妹のようにたのしそうにしゃべったり、絵本を読んだり、見ていてかわいいですよ。
松下産業
子どもたちは小さい空間が好きですよね。
保護者の方や先生は、この園舎にどのようなご感想をお持ちでしょうか。
高山理事長
みなさん「気持ちがいい」と言って下さいます。
それは長くのびた木の廊下、教室のフローリング、庇など、いたるところに木のぬくもりを感じるからだと思います。
松下産業
引渡しの前にお邪魔して、写真を撮影させていただきましたが、家具や遊具、絵本、先生の手作りの飾りがついて、子どもたちの声がすると建物が息を吹き込まれたようです。
(取材中、夏期保育の園児たちの笑い声が聞こえてきました) 弊社の施工管理、社員の印象はいかがですか。高山理事長
完璧でしたよ。所長をはじめ、部下の2名の方もよくやってくださいました。
松下産業
ありがとうございます。
高山理事長
この新築工事でよくみなさんに驚かれるのが「工期」です。工期は4月の入園にあわせていましたので1年掛からず竣工を迎えました。
設計との決め事も素早く、設計・施工ともにスムーズに動いていったのではないですか。
大きなトラブルもなく、施工中も私はじめ、園長、教職員も何度か現場見学させてもらいました。
3月の引渡しでしたので、3月に卒園した園児は、小学校に入学した4月に見学会を開いて披露しました。
松下産業
工事中、大きなクレームがなかったのも、地域に根ざした幼稚園へのご理解があったからこそではないでしょうか。
高山理事長
そうですね、ありがたいことです。
それから、現場施工中の近隣の住宅火災では初期消火にあたってくださり大きな被害にならずにすみました。職人の方が素早く、現場の消火器を何台か持って消火にあたったおかげです。フットワークの軽さ、さすがだなと感じました。
松下産業
はい、練馬消防署より感謝状をいただき、現場詰所に飾っていました。
最後に長年、幼児教育に携わる理事長よりひとこといただけますか。高山理事長
開園より60年あまり、幼児教育をとりまく環境は変わり続けています。子どもの権利の制度や理論が確立される一方、いま、家庭教育の外注化が進んでいます。
子どもにとっては、家庭教育が一番重要、そしてその次が集団教育の場です。
子どもは伸びる力を持っています。それを伸ばしてあげるのが親であり幼稚園。その適切な環境を与えてあげることが、今回の建替えの目的です。
時代が変っても、子どもの持つ伸びる力、かわいらしさは変りません。保育を通じて私たちはいつも子どもたちから力をもらっていると感じています。
松下産業
私たちも建築を通して、幼児教育に少しでも携わることができ、大変うれしく感じています。本日は、お忙しい中ありがとうございました。
(聞き手:松下産業)
学校法人寿福寺学園 http://www.jufukuji.ed.jp//
取材:2015 年7月